しわインタビュー

津軽三味線奏者 藤原翼さん

失敗してもいい、
やらずに後悔したくない。

津軽三味線奏者 藤原翼さん

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音楽を仕事にするって、なんだか遠い夢のような気がしちゃいませんか?
それを叶えたのが、津軽三味線のプロ奏者として活躍する、藤原翼さんです。
出身地の紫波町を拠点に、国内外で演奏活動をしながら、自ら三味線教室の先生として指導を行なっています。

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ライバルは母親。

藤原さんは中学1年生の時に三味線を始めましたが、そのきっかけはお母様だったそうです。

「母親がもともと三味線をやっていたので、その演奏会について行っていろんな人の演奏を聴くのが好きでした。中学1年生の時に自分も始めて、3年生の時に初めて大会に出たけど、結果は全然で。それできちんと津軽三味線を習いたくなって。」

「母親と競い合うようにお互い技術を高め合っていた。自分ができないことを母親ができていたり、その逆もあったり。母親というライバルが常にいたから、辞めたくなったことは無いですね。」

そして高校1年になると、本格的に津軽三味線の指導を受けるために弘前市の師匠の元へ毎週通い、技術を磨いていきます。

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人生は一度きり。後悔はしたくない。

高校から専門学校へ進み、卒業後は民間企業で働いていましたが、その間も三味線は続けており、イベント出演等で収入を得ることもあったそうです。

「25歳の時ですね。それまでの仕事を一旦辞めて、三味線のプロに挑戦しようと思って。30歳までに結果が出なければその道は諦めよう、と。人生は一度きりなんだから、後悔はしたくないので。」

それからは「必死こいて練習した。」と言います。
津軽三味線の全国大会で入賞を重ねたり、様々なアーティストとコラボレーションして演奏する機会を得たりなど実績を積んできました。
そして期限としていた30歳を迎えた頃には、プロ津軽三味線奏者として生きる自信を手にしていたのです。

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「できない」は言わない。プロとしての意識。

イベント出演などのオファーが向こうから来る時もあるけれど、自らも営業活動を行うそうです。
「気になるイベントや会場があれば自分から電話して営業します。一度断られても、少し時間が経ったらまた掛け直したり。」
怖いのは断られることではなく、忘れられること。忘れられないように、コンスタントにアクションを起こすのだそうです。

これまで書道、タップダンス、ピアノなど、様々なアーティスト達とコラボレーションをしてきた藤原さん。
「仕事のオファーをいただいたら、『少し時間を下さい』と言ったとしても、『やれない』とは絶対に言わない。プロとして仕事を投げるようなことはしないし、せっかく来たチャンスは活かしたいので。」
「コラボする相手の方と事前に打ち合わせして、パフォーマンスの方向性を決めておけばもう大丈夫。誰もやったことが無いから、そもそも失敗も成功も無いですし。三味線はもともとジャズみたいな即興的な音楽というのもあるかな。」

さすがプロ奏者としての覚悟を感じられる言葉ばかりですが、ご本人は至極当然といった風です。

「プロとして意識していること__あえて言うなら、健康でいることですかね。自分が資本だから、怪我も病気もしない。代わりがきかないので、どんな状況でもステージには出ます。」

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お客さんの拍手は何にも代えられない。

三味線をやっていて良かったと思うことについて伺うと、即答で「お客さんからもらう拍手」と返ってきました。

「普通に働いていたら、拍手ってもらえるものじゃないですよね。ステージの大きさやお客さんの数は関係無い。お金に換算できるものじゃないし、価値はつけられない。ステージに出してもらえる喜びやありがたみを感じますね。」

そしてご自身が教える生徒さん達にも、その拍手を浴びてほしいと言います。

「生徒さんをステージに立たせたいです。自分が出たい気持ちより強いかもしれない。ステージに立ったら誰もがプロと見なされるし、最初はしんどいと思います。だから精神的にも強くなってほしいし、どこまで成長するか楽しみ。」

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見たい景色は自分でつくる。紫波に無いなら、自分がやればいい。

生まれ育った紫波町を活動の拠点としている理由については、当たり前過ぎて特に意識をしていなかったようでした。

「紫波町でやりたいことはできています。無ければ自分がやっちゃえばいいし。」

「毎年、(紫波町の)城山公園の桜の季節にベンチで三味線を弾いてるんです。イベントに出てとかではなくただ自分だけ。『桜の下で三味線を弾いている景色って、かっこいいなぁ』と思うから弾いてる。自分がイメージしている見たい景色を、他の人が見て喜んでくれたら、嬉しいですね。」

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圧倒的な迫力の緊張感も、気持ちが和むリラックス感も。
津軽三味線が奏でる多彩な音。

『津軽じょんがら節』
取材後、演奏をお願いしたところ、まず弾いて下さったのが、こちら。
始まった途端、聴く側にも集中力が求められるような空気に変わりました。
生で聴く三味線の音は予想以上に力強く、伸びのある低音とビブラートによる歪みにすぐ耳を奪われました。
そして津軽三味線らしい、バチで力強く弦を叩く音に惹かれて右手の動きに目を奪われていると、左手では指で弦を弾いて細かいフレーズを奏でています。高音は弦が切れてしまうのではないかと思うほど繊細な音ですが、構わず高速に曲は進み、緊張感とともに盛り上げていきます___。

「三味線は単音で奏でる楽器」だと取材中に聞いたばかりでしたが、その多彩な音の組み合わせには、単音とは思えない華やかさがありました。

一方、「こんなのも弾きますよ。」と聴かせてくれたのは、某放送局で子どもたちの心を鷲掴みにした『パプリカ』。まさに単音ずつ伸びやかに三味線を鳴らし、思わず歌いたくなるほど和ませてくれました。

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取材の冒頭で藤原さんは、「自分では演奏動画をインターネットに掲載しない。三味線は生の音に限る。」と仰っていました。筆者は初めて生で聴き、これまでメディアを通して聞いたことがある音との違いに驚きました。

今後の構想として、さんさ踊りとのコラボやお月見コンサートなどもやりたいとお話して下さいました。「基本的にプラス思考」と仰っていた藤原さん、新型コロナの影響で活動に影響が出ている中ですが、この期間だからこそできることを考え動いているようです。更にパワーアップして演奏する姿を見るのが待ち遠しいです。

津軽三味線奏者 藤原翼さん

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